大きなしこりができ、膿が出る
感染性と無菌性に分かれる「脂肪織炎」
「脂肪織炎」とは聞き慣れない病名だが、しこりに穴が開いて膿が出る病気で、体のあちこちに発症することも。中でも近年、M・ダックスフンドの間で増えている無菌性の脂肪織炎には、特に注意したい。 |
【症状】 体幹部に大きなしこりができ、先端に穴が開いて膿が出る |
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【原因とメカニズム】 細菌感染や遺伝的な免疫介在性疾患など |
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●感染性脂肪織炎
感染性脂肪織炎は、先にも触れたが、何らかの細菌や真菌が皮下脂肪織に侵入し、増殖して発症するものである。例えば、先の鋭い木片が刺さったり、猫のつめに引っかかれ、傷口が皮下に達して炎症を起こしたり、皮膚のデキモノが化膿して、皮下まで炎症が広がったりすれば、このようなことが起こり得る。この場合、患部が限局※していることが多い。しかし、発症時、体調が悪かったり、他の病気にかかっていたりして免疫力が低下していれば、体のあちこちに広がる可能性がある。 ※病変が体の一部に限定されていること ●無菌性脂肪織炎 無菌性脂肪織炎で近年、特に注目されているのが「免疫介在性」と考えられる症例だ。自らの免疫システムが何らかの要因で脂肪織組織を「異物」と認識して攻撃していると思われる。とりわけミニチュア・ダックスフンドに多く、その遺伝子の中に発症を促す「誘発遺伝子」があるのではないかと推定されている(コーギーなどの犬種にも見られる)。この場合、体のあちこちに発症することがある。なお、東京農工大学附属家畜病院で取り扱った脂肪織炎30例中、半数がミニチュア・ダックスフンドで、コーギーは1割であった(残りはシー・ズー、シェルティ、チワワなど)。 その他、何らかの手術後、手術跡に無菌性脂肪織炎が発症するケースも少なくない。この場合、皮膚縫合に使用された「糸」が脂肪組織にアレルギー反応のような悪影響を及ぼしているのではないかと疑われているが、詳しい因果関係はまだ明らかではない。 また、皮下注射後、その跡に発症することもある。 |
【治療】 「感染性」か「無菌性」かを確定診断し、それに合わせた治療を行う |
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【予防】 体をよく触って、しこりを早く見つけること |
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*この記事は、2007年9月20日発行のものです。 | |
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